令和8年度の地域別最低賃金について、全国の地方最低賃金審議会による答申が出そろいました。
今回の改定では、全国加重平均額が前年度から56円引き上げられ、時間額1,177円となっています。
また、静岡県では、最低賃金を現在の1,097円から57円引き上げ、時間額1,154円とする答申が行われ、その後、答申に基づき改正が決定されました。
静岡県内の事業者にとっては、人件費への影響だけでなく、給与体系や各種手当の見直しが必要になる可能性があります。
今回は、令和8年度の最低賃金改定について、全国と静岡県の状況、そして企業が確認しておきたいポイントを解説します。
令和8年度の最低賃金|全国加重平均は1,177円
令和8年度の地域別最低賃金について、47都道府県すべてで改定額が答申されました。
全国加重平均額は次のとおりです。
| 令和7年度 | 令和8年度 | |
|---|---|---|
| 全国加重平均 | 1,121円 | 1,177円 |
| 引上げ額 | 56円 |
全国では54円から65円の引上げが答申されています。
今回の全国加重平均56円の引上げは、最低賃金の目安制度開始以降でも非常に大きな引上げとなっています。
企業にとっては、「最低賃金を下回っている従業員がいるか」だけではなく、最低賃金に近い賃金水準の従業員を含めて、人件費全体への影響を確認することが重要になります。
静岡県の最低賃金は1,154円へ
静岡県では、令和8年度の最低賃金について、次のとおり改定されます。
静岡県最低賃金
改定前:1,097円
↓
改定後:1,154円
引上げ額
57円
引上げ率
約5.20%
発効日
令和8年10月15日
静岡県では、中央最低賃金審議会が示した56円の目安に対し、さらに1円上乗せした57円の引上げとなりました。
時給1,097円で働いているパート・アルバイト等については、令和8年10月15日以降、原則として時給を1,154円以上にする必要があります。
パート・アルバイトだけではありません
最低賃金というと、パートやアルバイトの時給をイメージされる方も多いかもしれません。
しかし、最低賃金は正社員、契約社員、パート、アルバイトなど、雇用形態にかかわらず適用されます。
そのため、月給制の正社員についても注意が必要です。
例えば、月給額を所定労働時間で換算した場合に、最低賃金額を下回っていないか確認する必要があります。
また、給与の中に含まれる手当についても、すべてを最低賃金の計算に算入できるわけではありません。
基本給だけで判断せず、最低賃金の対象となる賃金を適切に確認することが重要です。
企業が確認しておきたい4つのポイント
今回の改定にあたり、企業では次の点を確認しておくことをおすすめします。
1.最低賃金を下回る従業員がいないか
まずは、現在の従業員の賃金を確認しましょう。
特に、次のような従業員は注意が必要です。
・時給1,154円未満のパート・アルバイト
・最低賃金に近い月給制の正社員
・短時間勤務者
・固定残業代を設定している従業員
単純に「月給が高いから大丈夫」と判断せず、時間額に換算して確認することが必要です。
2.月給制の従業員も時間額換算する
月給制の場合は、原則として月給のうち最低賃金の計算対象となる賃金を、1か月平均所定労働時間で除して確認します。
そのため、給与明細上の月給額だけを見て判断するのではなく、所定労働時間との関係で確認する必要があります。
会社ごとに所定労働時間が異なるため、同じ月給額でも最低賃金を下回る可能性があります。
3.各種手当の取扱いを確認する
最低賃金の計算では、算入できない賃金があります。
例えば、一定の賞与や時間外割増賃金、休日・深夜割増賃金などは、最低賃金の比較対象から除外されます。
また、通勤手当、家族手当、精皆勤手当などについても取扱いに注意が必要です。
「総支給額が1,154円以上だから問題ない」とは限りません。
給与体系によって判断が必要となるため、改定前に確認しておくことをおすすめします。
4.給与改定のタイミングを確認する
静岡県の改定後最低賃金は、令和8年10月15日から適用されます。
給与の締日によっては、給与計算上、いつから改定後の時給を適用するのか確認が必要です。
例えば、
・毎月末日締め翌月払い
・20日締め翌月払い
など、会社によって給与計算期間は異なります。
発効日をまたぐ給与計算期間については、最低賃金の適用関係を確認し、必要に応じて適切な賃金計算を行う必要があります。
最低賃金の改定は「57円」でも企業への影響は大きくなります
静岡県では、今回57円の引上げとなります。
時給で見ると57円ですが、複数の従業員がいる企業では年間の人件費に大きな影響が出る可能性があります。
例えば、最低賃金近辺の従業員が複数いる場合には、
・基本給や時給の引上げ
・他の従業員との賃金バランス
・社会保険料や雇用保険料への影響
・時間外労働の単価への影響
・求人時の募集賃金の見直し
などについても検討が必要になる場合があります。
また、最低賃金だけを引き上げることで、既存社員との賃金差が縮小し、賃金体系全体の見直しが必要になるケースもあります。
特定最低賃金にも注意
静岡県には、特定の産業について特定最低賃金が定められています。
ただし、令和8年10月15日以降、特定最低賃金が改正されるまでの間は、該当する労働者についても静岡県最低賃金である時間額1,154円以上の支払いが必要となる場合があります。
自社が特定最低賃金の対象業種に該当するかについても、あわせて確認しておきましょう。
まとめ|令和8年10月15日までに賃金の確認を
令和8年度の最低賃金改定では、全国的に大幅な引上げとなっています。
静岡県では、
現在:1,097円
から
令和8年10月15日以降:1,154円
へと57円引き上げられます。
今回の改定にあたっては、パート・アルバイトだけではなく、月給制の正社員についても最低賃金を下回っていないか確認することが重要です。
また、給与体系や各種手当の内容によっては、最低賃金の計算が複雑になることもあります。
改定日直前になって慌てることのないよう、早めに従業員の賃金を確認し、必要な対応を進めておきましょう。
当事務所では、最低賃金改定に伴う賃金チェックや給与体系の確認、就業規則・賃金規程の見直しなど、企業の労務管理をサポートしています。
「自社の給与が最低賃金を下回っていないか確認したい」
「月給制の従業員の計算方法が分からない」
「最低賃金引上げに合わせて給与体系を見直したい」
といった場合は、お気軽にご相談ください。